さよなら前歯。26歳からの歯列矯正日記

いつのまにか前歯が死んでいたので矯正をはじめました。埋伏犬歯の前歯歯根吸収・八重歯・開咬持ちの歯列矯正記録。

カウンセリング巡り② だんだんと見えてくる中央値

去年9月に行った矯正初診巡り、3〜5件目について。淡々と書いていきます。ここからはあまり新しい事実が出ず、ただ治療の目指す方向の中央値を探っていく感じです。

3件目

念のため外科矯正の診断ができるところにも聞いてみようと思い選んだ歯科。通常の写真とレントゲンに加え、3Dレントゲンなるものを撮影してもらい診断。3件目以降では2件目のレントゲン・CTの写真も毎回見せた。

骨格

正中が若干ずれている、下唇が出ている(≒上顎が小さい)などを指摘される。横顔それ自体のバランスにはそんなに大きな問題はないとも言われる。

埋伏犬歯

右1番まで牽引してくるか、歯を順番に隣に寄せていく形で引っぱり出すか。後者だと既に歯根の短い前歯をさらに動かすことになるため難あり。埋まっている歯が動くかどうかはやってみないとわからず、動かないなら抜いてインプラントになりうる。
本矯正期間は牽引するなら3年は必要。もしインプラントにさっさとしてしまうのなら2年程度の通常の矯正の範囲に収まる。

顎関節

あごは筋肉のバランスの不整合ですり減ることが多いそうで、右側の筋肉が弱そうではあるとのこと。矯正ですり減ったあご自体を戻すことはできないと言われる。

抜歯箇所

上は抜くなら神経を抜いた左上5番。下は抜かなそう。

:*** 全体的に

前2件よりもあまり印象がよくなかった。説明が最低限すぎるというか。こちらから頑張って質問しないと最低限聞きたいことがわからないとでもいうか。

犬歯の牽引を除けば、そんなに難しい症例ではないと言われる。1、2件目と真っ向から矛盾する。この時点では多数決で難しい症例だと思うし今でもそう思うしで、ちょっと合わないなと思う。

一番「ん?」となったのが症例を見せてもらえなかったこと。「各自それぞれ違うから似た症例は参考にならない」と言われてしまう。ちょっとこれはさすがによろしくないサインだろうな……ここはないな……と時間を余らせつつ退散。


4件目

5件目と近いので同じ日に周ってみようと予約。先生が直接口の中を診断してカウンセリング。時間も短めだった。

埋伏犬歯

牽引するなら4番の位置が良さげ。1番に下ろすのは難易度が高い。もしくは犬歯を抜き、前歯を使えるだけ使って、前歯が寿命を迎えたらインプラントという可能性もあり。骨と癒着して動かないというケースもありうる。
犬歯の牽引症例を見せてもらうが、見た限りやっぱり子供の症例メインだった。

矯正期間は牽引するなら3年は見るべきとの見解。

抜歯箇所

左上5番を抜く可能性は高いがレントゲン次第。左下親知らずも抜く可能性が高い。その他の下の歯は抜かなくて良そう。

全体的に

基本的には精密検査しないとわからない、というスタンスが強かった。

インビザライン推しめ。「上の歯は牽引するだろうからワイヤーにしても、下の歯だけインビザラインというのもできるよ」と言われた。ふつう目立つ上の歯だけマウスピースというのは聞いたことあるけど、逆だとそのメリットもない上、マウスピース+ワイヤーの大変さが足し算されるだけでは……?と思ったり。

シンプルな症例か子供の矯正ならば悪くなさそうだけど、私の症例にはここにするまでの決め手が薄いという感覚を得た。


5件目

経験豊富で評判良さそう、かつ使う装置が新しめのタイプで気になり向かった矯正歯科。口の中を直接診てもらい診断。

埋伏犬歯

なるべく速やかに治療することを強調された。1日2日単位ではないけど、年単位ではゆっくりしていられない。抜くなり牽引するなりして左1番の前歯まで歯根吸収されきるのを防いだほうがいいとのこと。

牽引する場合、右上1番を抜いて牽引するのがまずは良いだろうと。ただしかなり大変には違いない。埋伏歯引っ張り出す際には、歯茎に金属線が当たってチクチク違和感が続きやすいとのこと。それが嫌ならば犬歯を抜いて前歯を使えるところまで使う。牽引にトライするかしないは意思次第。

牽引で動くかどうかはやってみない限りわからない。牽引は動くかどうかかの個人差が激しく、事前に予想もつかない面が大きい。矯正期間も牽引次第でブレるから予測しづらい。

ただ、もし本当に全く動かないのであれば、そもそも左上1番に達するところまで犬歯が突っ込むというのも考えにくい。そう考えれば動く可能性もそれなりにあるのでは?とも言われる。できれば1〜2年前のレントゲンと比べて動いているかどうかを見られたらベストだったと。

抜歯箇所

左上は抜歯。下も抜歯しそう。

左上の抜歯箇所については牽引の様子を見て決める方向性。前歯抜いて犬歯牽引もダメならば、左側2番を右側1番に移植しつつ八重歯スペースを作るというアクロバティックな提案もあった。さすがにイレギュラーだから、基本的には埋伏歯の牽引状況を見つつ判断する形になる想定。

左下の親知らずは矯正自体には影響はあまりしないとのこと。

その他機能面

顎関節のすり減りについてはあまり深く考える必要はなく、歯の全体的な状態の悪さのほうがリスクが高いとのこと。

開咬の後戻りリスクは舌癖に影響される。埋伏犬歯の次に重要度が高いのは開咬であり、八重歯や歯の凸凹を並べること自体はそう難しくないとのこと。

全体的に

埋伏歯含めた対応パターンについて多数挙げてくださったのがここ。他にもメモ追いつかないくらいいろいろパターンを話してくださったけど、現実性が高いのはここに書いたあたり。歯牙移植系のアクロバティックなお話以外は1件目と見解が似ている。



矯正カウンセリングの中央値

だいたい見解が一致する部分

  • 埋伏犬歯は一刻も早く処置するべき
  • 埋伏犬歯は牽引するか抜くか。ただし牽引して動く確証はない
  • 顎変形症や外科矯正の可能性はなさげ
  • 牽引するなら本矯正だけで3年の長期戦は要覚悟
  • 埋伏歯の次に難しいのは舌癖由来の開咬、それ以外の凸凹とかはよくある矯正の範疇
  • 審美面の変化は良くも悪くも見込みにくい

バラける部分

  • 抜歯箇所(左上5 or 4、下4 or 5 or 抜かない)


中央値がわかったら後はどう決めようかと悩み、そこからまたひと騒ぎあるのです。

リアル時間軸ではとうとう前歯を抜歯し、牽引装置付けたところです。現在に追いつくまでだいぶかかりそうですが、なんとか書いていきます。



今日はこのくらい。

歯列矯正カウンセリング巡りの準備

矯正を思い立ってからおよそ1週間後、矯正歯科のカウンセリングを予約しました。

このカウンセリング、ただ丸腰で話を聞くだけではもったいない。下準備がめちゃくちゃ重要でした。私がして役に立った準備を書いていきます。

カウンセリングの準備

すでに矯正をしている友人に話を聞く

いま歯列矯正中で知識ツヨツヨの親友にお話を聞きました。noteも書いてくれていたので読みました。
note.com
この時点でマウスピース矯正は選択肢から外しました。絶対ダメではないだろうけど適応範囲が狭いのは確かそうで、理由がなければ成功確率の高いワイヤーのほうが良いだろうと。


優先順位を考える

矯正に関して自分の優先順位は何だろう?といったん考えてみると良い。

私の場合はこうでした。


健康面での成功率>>>>>>痛み>価格>早さ>審美面


したがって成功率の高い表側矯正希望で、健康面に良ければ抜歯もOK。
審美面は気にするにこしたことはないけれど、健康面を第一に据えるべきだと思った。特にカウンセリング周って健康面の問題が明らかになり始めてからは健康面をいっそう重視するようになった。かみ合わせが悪くて不定愁訴に悩まされる……なんてのが一番怖かった。虫歯の痛みに苦しんだ直後だったのもあり、身体第一は自然なことだった。

審美面をこだわる人はかなり細かく気にすると思う。口端の隙間(バッカルコリドー)の幅とか。広いとあどげなさ、狭いと大人っぽさが出るとか。もしくは歯の角度とか。石原さとみ的に前歯内向きに倒したい!という人もいるみたいだけど、かみ合わせ的には難が出やすいらしい。

私の審美面で最大の要望は八重歯を治すこと。幸い、八重歯治すのは健康にもプラスなはず。審美面だと良くするより悪くなるほう、例えばほうれい線が強くなる可能性とかが気になったけれども、最終的にかみ合わせ最優先で他が頭の片隅に置かれるようになった。正しくかみ合っていれば審美面も結果的によくなるだろう、という感覚。

ただ、最低限そういうことも含めてこの先生は気にしてくれるのかな?という意味でカウンセリングのときには審美面の質問も織り交ぜていました。


レントゲン撮ってくれるカウンセリングに早めに行くと吉

基本的には口の中を見て診断してもらうのですが、院によってはカウンセリングでレントゲンを撮ってくださる場合があります。こういった院に早い段階でかかっておくといいかもしれません。もしくはかかりつけの歯医者さんにもらえるならそれにこしたことはないかも。

私みたいに、今まで4箇所の歯医者でレントゲン撮っても指摘されてこなかった大爆弾が埋まってた……なんてこともあるので。許可が得られるようならレントゲン写真をスマホで撮るなりなんなりで見せられるようにすると、その後の参考資料として役立ちます。


質問を事前に考えておく

以下の項目を初カウンセリングまでにひねりだしました。カウンセリングで問題が明らかになったら次のカウンセリングでそのことについて聞いたり、これは聞かなくてもいいなと思ったものは落としたり。そうやってちょっとずつ質問表を育てていく感覚。

もし仮にド本命という矯正歯科が事前に予想つくのなら最初にカウンセリング受けるより、質問表を育ててから聞くのがいいかもしれません。

健康面

①八重歯以外の噛み合わせの問題はなにか。

②抜歯は必要か。抜歯する場合、左上5番抜髄歯を優先して抜歯できるか。4番抜歯や非抜歯(ありえる?)に対して、デメリットはあるか(左右非対称、期間、費用、たるみなど)

③上の右側の歯が6本しかないのが気になる。可能性としては埋伏しているのか、それとも欠損しているのか。埋伏している場合は処置が必要か。(精密検査後でもOK、カウンセリングでは頭出し)
虫歯治療のときに撮影したレントゲンで歯科衛生士さんに指摘された。そのときは欠損か埋伏かわからなかった。

④左下の親知らずについて。放置しておくと7番の歯に影響が出るなどのリスクを最近知った。矯正的にも抜いたほうが良いか。抜く場合、どの程度の手間がかかりそうか(部分麻酔日帰り?全身麻酔レベル?)

⑤顎関節症かもしれないと思うが、そう見えるか。矯正で改善は見込めるか。
中高生の頃吹奏楽部で顎に負担をかけがちだった。顎を右から左方向に動かして右側の顎関節を鳴らす癖があった。
今はあごが開かない、音が鳴るといった症状はない。まれに癖が再発する(疲れたときや顎に違和感があるとき)。

⑥舌癖とかみ合わせの関係はあるか。
舌先が上前歯に押し付けがち。前歯よりも前の正しい位置に舌をセットとすると窮屈に感じる。矯正によって治せるか。

⑦下前歯の隙間(ブラックトライアングル)を軽減することは可能か。もしくは悪化しうるか。

審美面

①矯正によって下記の審美面の変化が新たに発生しうるか?

1. 口元の後退
いわゆる口ゴボではない。Eラインらしきものはある。きれいな横顔かとそうではないのだけど。逆に後退しすぎてバランスおかしくなったりしないかという懸念

2. ほうれい線
抜歯矯正・八重歯矯正にありがちと聞くけれども、悪化の可能性はあるか。

3. ガミースマイル
今現在気になっていないが、矯正を期に悪化することは避けられるか。

4. 人中が伸びる or 縮む
これもよく聞く。

装置関連

①一時的に装置を外すことは可能か。数年内に海外ウェディングフォトを撮影する可能性あり。その際に10日レベルで装置を外しておくことはできるか。費用やその際の注意点など。

②着色にどの程度気を使うか。ゴムがないタイプの装置ならあまり気にする必要はないか。もしゴムを使う場合、いっそカラーゴムなどを使うことはできるか。

費用関連

①医療控除は適用できる範囲か。(これはあまり聞く意味ないかも)


そんなこんなで

歯列矯正カウンセリング巡りをしました。実際どんな感じだったかを次回書いていこうかと思います。

矯正を始めたきっかけ 〜さよなら神経〜

そもそも、なぜ歯列矯正を始めようと思ったのか。きっかけは虫歯でした。

2020年8月上旬。左上奥歯の治療痕が痛みだし、神経を抜きました。治療するまでもお盆休みやらなんやらで時間がかかり、地獄の痛みに悶え苦しむことに。ピーク時は歯ブラシをあてただけで痛く、ロキソニン飲みすぎでぶつけた記憶もないのに太ももに青あざができた。

詳細な話は本ブログにも書きました。
www.zazaizumi.com



小さい頃から虫歯を作ってばかりで、奥歯に治療痕のない歯なんてないに等しい。そんな私でも、今まで神経を抜いたことはなかった。神経を抜いた歯はどうしても寿命が縮みやすい。いよいよ歯を本格的に失う未来が来るかもしれない……という不安に襲われまくる。



数ヶ月前、矯正中の友人と話をした記憶がよみがえる。調整したてで痛くて食べられるものが限られていた。大変だなぁ、私にはできそうもないな……なんて思っていた。一方で自分の写真を見ると、八重歯が気になる。チャーミングポイントだとも思えない。異物感があるとしか言いようがない。

今回、神経を抜いた歯は左上5番。八重歯の場所は左上3番。そこで思ったのです。「左上5番を抜いて、八重歯をひっこめてしまえばよいのでは?」と。ふつう4番を抜いてひっこめるパターンが多いけれども、 5番の神経がないとかだと5番を優先されやすいとのこと。

しかも時代はコロナ禍。マスク文化が続き、外食も減る。最大の趣味である旅行が断たれたぶん、お金が貯まっている。あれ、もしかしてこれ、良い機会では?



さっそく矯正中の友人にお話を聞いてみる。

矯正がとんでもない情報沼だということに気づく。マウスピース矯正の難易度が高く、表側ワイヤーのほうが成功率が高いとか。成人矯正で拡大床は後戻りの危険が高いとか。部分矯正の適応範囲が狭く、八重歯だけ無理に引っ込めるとかみ合わせに悪影響が出る可能性が高いため基本上下矯正を考えたほうが良いとか。

100万単位でお金使うものにして、落とし穴多すぎない……?とちょっと絶望するレベル。情報をくださった友人には感謝してもしきれない。




八重歯の治療だけで済まないのならいっそ、八重歯以外に重大な問題が見つかってくれたほうが踏ん切りつくかなあ、と思った。中高時代に顎関節症ぎみだったこともあり、いっそかみ合わせ周りで問題見つかってくれたほうがいいんじゃないかと。八重歯単独だとちょっとモチベーションが持つか微妙だな、と。そんな風に思ってた。

そんなふんわりした気持ちで矯正歯科の門をたたいたのです。期待以上でした。期待以上の問題まみれすぎて、心がしょっぱなから折れるとは。思ってもみなかった。

カウンセリング巡りの準備とその内容については次記事に続きます。

このブログについて

ざざいずみと申します。
2020年8月に思い立った歯列矯正の記録を残していきます。

プロフィール

現在26歳会社員。

子供時代は奥歯のほぼすべてに虫歯つくっては治療してきました。25歳のときに治療痕の虫歯が再発したのを機に、「この再発した歯を抜いて八重歯ひっこめられるのでは?」と気軽な気持ちで矯正歯科のカウンセリングに向かい、衝撃の事実が発覚。

右上犬歯が埋伏している上に、前歯2本の歯根を侵食・吸収済み。右側の前歯はほぼ死んだも同然。これまでグラグラしたり痛みがなかったりしたのが不思議なくらいの状態。
その上、開咬(オープンバイト)。前歯が全くかみあっておらず、奥歯があっという間に寿命を迎える。

このまま放置したら8020なんて夢のまた夢。40・50代くらいからボンボン歯が抜けてもおかしくない。

そんな現実を突きつけられて、矯正高い〜とか言ってらんなかったのです。今100万使って治すか、数十年後に歯が抜けまくってインプラントとかで1本30〜50万円×複数本を飛ばすか。そんな究極の選択、負債返済ムードからはじまった矯正の記録です。

このブログをはじめた理由

いつか同じ立場になった誰かのため

私の症例(成人の犬歯埋伏)は、あまりネット上では体験談が見つかりませんでした。子供の症例ばかりで、成人は少ないし、等身大で矯正生活をつづった話はさらにない。私みたいな症例は多くはないけれど超激レアというほどでもないそうで。ならば、同じ立場になったいつかの誰かの少しばかり助けになれば、と記録することにしました。

かつてはTwitterに書いていましたが、SNS断ちの一貫としてアカウントを閉じました。ついでにSNSだと見返しにくいと思っていたので、ブログに移ることにしました。

モチベ維持のため

成人の歯列矯正って「今よりキレイになるぞ!」というモチベーションが多いと思うのです。「ガタガタ歯のコンプレックスから解放されたい!」「口ゴボ引っ込めてEラインを手に入れたい!」といったポジティブなもの。

でも、私はそんな前向きに矯正を始めたわけではなかったのです。重病宣告されたから仕方なく戦わねばならない、という形。それもそのはず、今まで歯の見た目でコンプレックスなのは八重歯くらい、それもあまり重く捉えていなかった。でも、私のタチの悪さはパッと見の美しさとは別次元だった。しかも成人になるまで負債が見過ごされてきており、せめて10代ならもっと取れる選択肢があっただろうに……という進行性のもの。

そんな借金取りに追い立てられた返済のような気分で矯正が始まっているので、あまり前向きな気持ちがないのです。今は今できる中での最善を淡々と追うしかないなと思っていますが。こんなトーンで矯正始めた人もいるよ、という記録として見ていただければなと。

そんなこんなで

2020年8月から現在進行形の記録に追いつくまではしばらくかかりそうです。頑張って書いていきます。

よければ本体ブログの「ザザイズム」もよろしくお願いします。
www.zazaizumi.com